マクロビオティックとは・・・

今わたくし達は、戦前・戦後しばらくの時代とは比較にならないほど豊かな生活を送っています。食べ物は、工業製品となり工場で大量に生産され、世界中から輸入され、私達はたくさんの食べものの中から、いつでも自由に好きなものを食べることができます。日本人は長い間「米」を中心のシンプルな食事で健康に暮らしてきました。それがとくに戦後、肉類をはじめとした動物性食品が多くなり、主食・副食といった考え方が薄れ、生活習慣病※などの病気が急増しました。いわば食事の欧米化と無秩序化が、さまざまな病気をもたらす大きな原因の一つとなったのです。
※昔は成人病と言っていたものが、子供も発症するようになって生活習慣病というようになりました

実は食べものがわたしたちの身体をつくり、こころにも影響を与えているのです。
毎日を、心身ともに健康に過ごすには、自分の心身にあった食生活の智恵(食養法)が必要です。そうした知恵の一つに「マクロビオティック」があります。というと、菜食主義などのように外国で生まれた考え方のようですが、そうではありません。実は、マクロビオティックは、日本人桜沢
如一(1893〜1966)が提唱し根づかせたものです。桜沢氏は、日本に古くから伝わる食養生の考えを引き継ぎ、さらに東洋の深い知恵「易」の原理を加え、「無双原理」を完成して「正食」を確立しました。 国内外問わずこの考えを広めるために「マクロビオティック」という名前がつけられ、ヨーロッパを中心とした世界各国を訪れて、マクロビオティックによる健康法や平和運動の普及に努めました

マクロビオティック―Macrobiotic-という言葉は、「マクロ」はギリシャ語で「大きい」とか「長い」といった意味があり、「ビオ(バイオ)」は「生命」、「ティック」は「術」「学」を表します。西洋医学の父といわれるヒポクラテスが、「偉大な生命」「長寿」という意味であるマクロビオス(makrobios)という言葉を使ったのが最初といわれます。
 国内では「正食」として伝えられたマクロビオティックが、戦後しばらくは欧米食の普及期に合ってあまり評価をされず、今外国から逆輸入されるかたちで広まり、「マクロ」や「マクロビ」といった略称で親しまれています

マクロビオティックはもちろん、健康やダイエット、美容への第一歩は、おかずよりも、主食となるお米をしっかり食べることです。はじめは玄米ではなくても、白米に雑穀をまぜたり、胚芽米や分づき米でもかまいません。アミノ酸のバランスに富むごはんは、同じ糖質のパンやめん類の粉食とは違って粒食なので、よく噛むことができ、少量で満腹感がえられ、胃腸への負担を和らげるとともに食べすぎが防げます。 また、千枚田や棚田など、美しい日本の景観をつくりだし、国土を保全する田んぼは、環境面でも大きく役立っています

ごはんを食卓におくだけで、和食中心の食生活になり、肉や魚はたまの楽しみのご馳走と考えれば、余計なお金もかけず、健康な毎日を送ることができます。 昨今、世界各地で「長寿村」と呼ばれる集落や、その食事が注目されることもありますが、それは、それぞれの土地で伝統的に続けられてきた、土地や環境に合わせた食生活、それがすなわちマクロビオティックなのです

日本人は生活習慣病を引き起こす欧米型の食事ではなく、伝統を大切にした和食があっています。ごはんに味噌汁、漬物があれば、それだけで立派なマクロビオティック。そう、マクロビオティックは、日本人にもっともふさわしい食のたしなみであり、海外でもヘルシーな料理として広く普及しています。

マクロビオティック食事に関する原則
■食品の品質基準

食養で使用される食材には、次の品質基準が必要である

  1. 農産物は栽培の過程で、肥料は有機肥料に限定し、除草、殺菌、殺虫等いかなる理由でも農薬を使用していないものとする。収穫後の保存についても同様とする。
  2. DNA操作による遺伝子組み換え作物は、不使用とする。
  3. 加工食品は製造の過程で、有害な添加物や抽出剤、化学調味料等を使用していないものとする。ただし、天然にがり等の無害な天然添加物は許容される。製造は圧搾法等の古式製法等によるものとする。

■食品の選択基準

身土不二の原則』
国内産を原則とし、例外的に輸入品を認める。
Post-Harvest(ポストハーベスト)の問題には十分な注意を必要とする。
■食品の摂取基準

  1. 穀菜食中心の原則
    マクロビオティックの食事は穀菜食が主体となる。牛、馬、豚、鶏のような動物性食品は禁止されている 。
  2. 一物全体の原則
    野菜は、根、茎、葉等の全体を摂取することが大切で、一部のみ(たとえば、根のみ)では不十分である。この原則から、精製された白米を避けて、玄米や分搗米等を摂るべきであり、精製糖は忌避されるが、黒砂糖は認められている。魚類もイワシのような全体食が出来る小魚が推奨される。
  3. 食品の陰陽のバランスを配慮する。陽性の食品は、体を温め、陰性の食品は冷やすもの。両者のバランスを調えて全体として中庸になるように献立します。実際は、季節の寒暖も配慮してバランスを調えます。
  4. 水分について 
    体質や病状に応じて加減する必要がある。高齢者等の場合、涸渇に対し鈍感になるので血中濃度が濃くなり、各種の梗塞を起こす怖れがあるので、常に十分な水分の補填に努める必要がある。常飲する水は、人の体の水分のミネラル成分に近いものが推奨される。
  5. 糖分の制限
    糖質はカロリーに転化しやすいので一日の摂取量を制限する必要がある。
  6. 塩分の制限
    高血圧、心臓病、腎臓病等の原因となるので、許容量の範囲内にとどめる必要がある。
  7. 食材の組合せ基準
    病状、体質等に応じて「マクロビオティック食事法の十段階」の組合せ基準による必要がある。

■生活習慣に関する原則

マクロビオティックに付随する生活習慣の原則は次の通りである

  1. 食事は1口ごとに最低30回以上咀嚼すること。
  2. 食事の量を腹8分目程度にとどめること。
  3. 間食は健常者には許容されるが、糖分に注意すること。
  4. 煙草は禁止されている。
  5. 酒類は健常者に限り、少量が許容されている。
  6. 種々なストレスに注意し、克服すること。
  7. 睡眠や休息を十分にとること。
  8. 毎日適度な運動をすること。
  9. 定期的な検診を受け、健康状態をチェックすること。

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